画像生成AI(Stsble diffusion)を活用した既存キャラクターのイラスト制作

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画像生成AIは、イラストやデザインの創作に活用できる可能性に注目されていますが、既存キャラクターのイラストを制作するにはまだハードルがあります。

本記事では、画像生成AIを利用し、既存キャラクターのイラスト制作の手法を実例とともに紹介し、メリットやデメリットに触れていきたいと思います。



※ 本記事は「AI COLLECTION」(AIイラスト専門の展示即売会)の企画です。
https://cl.chichi-pui.com/
  アオまるが3/30を担当させていただいております。

※ 注意点
  本記事では、インターネットから画像を学習したデータ(学習モデル)の違法性・不当性については議論しません。


はじめに


画像生成AIは、テキストから画像を生成するtext to image(t2i)と、画像から画像を生成するimage to image(i2i)の2種類が存在します。
しかし、既存のキャラクターは学習されていない場合が多く、特定のキャラクターの画像を生成することはまだ難しい状況です。そこで、画像生成AIの補助を受けて既存のキャラクターを描画する手法について、試した経験をお伝えします。


1 画像生成AIを活用する5つの手法


以下に、画像生成AIを既存キャラクターのイラスト制作に活用する5つの手法を紹介します。

※ 今回はVtuberの蒼音ゆきさんにご協力いただきました!
  ありがとうございます✨
(蒼音ゆきさんのTwitter:https://twitter.com/Aone__yuki

①  ラフ画(単色)をi2iで整え、塗っていく手法


今回はこの手法で制作したイラストとその過程を重点的に紹介します。
この手法では、まずラフ画を描き、それをi2iで線画を整えます。

・ラフ画


・i2iで線画を整えたあと


その後、色を塗って仕上げます。






この手法はキレイな線画が得られるというメリットがありますが、ある程度の画力が必要です。
(今回の制作時間は5~6時間程度なので、時間短縮になったかというと微妙ですが、クオリティはある程度維持できていると思います。)

② ラフ画に色を置いたもの(カラーラフ)をi2iで整える手法


この手法も、手法①と似ていますが、細かい塗りまである程度任せることができます。そのため、学習モデルの絵柄が色濃く出ることが特徴です。
しかし、こちらもある程度の画力が必要となります。

【参考】
i2iをかける前


i2iをかけた後


少しデザインが変わってしまいますが、塗りがより細かくなります。


③  t2iで思い描いたイメージに近いものを出力して加筆しキャラクターを描画する手法


この手法では、t2iを用いて思い描いたイメージに近い画像を出力し、その画像を加筆してキャラクターを描画します。
運が良ければ1~2時間程度で制作できます・・・が、イメージに近いものがなかなか出力できないので、手描きの方が早くなることが多いです。

【出力参考】











今回は近いイメージを出すのにはかなり時間が必要そうでした。
さすがに描いたほうが早いと思います・・・。

④  t2iで多くの画像を生成し、使いたいイメージを抽出して加筆してキャラクターを描画する手法


この手法では、前項のようにt2iで多くの画像を生成し、その中から描画したいキャラクターに近い画像を抽出して加筆し、キャラクターを描画します。
生成時間はかかりますが、プロンプトにこだわらず、比較的早く描画できることがメリットです。

描画したいキャラクターに近い画像が出力できれば、1~2時間で制作が可能ですが、衣装が複雑で珍しいものだと、描いたほうが早いです。


⑤  描画したいキャラクターを追加で学習させ、t2iで出力する手法


この手法は、描画したいキャラクターを追加で学習させ、t2iで出力する方法です。

LoRAの登場により、数十枚の画像から特定のキャラクターを生成できる仕組みが実現可能となりました。
学習に時間がかかるため、恐らく手描きの方が早いですが、一度学習させてしまえば何度でも生成できるというメリットがあります。また、画力がなくても作成できる点も大きなメリットかと思います。


2 今後の展望


今後の展望としては、⑤の導入が簡易化されることが期待されます。
ControlNetの登場により、ポーズ指定や3面図の制作も容易になりつつありますし、手や背景のクオリティもどんどん改善されており、画力の研鑽がなくとも、思い通りのキャラクターを描画できるようになるのも時間の問題と考えられています。


まとめ


画像生成AIをイラスト創作に活用する方法は、技術の進化に伴い多様化しています。手法によっては、ある程度の画力が必要となるものもありますが、学習モデルの向上や新しい学習方法の登場により、これまで以上に多くの人がイラスト制作を楽しめるようになることが期待されます。
賛否両論、権利面等の課題は山積みですが、より多くの方が創作活動を楽しめるようになるのは良い面も多いと思います。

僕自身も、より良いものを世に出せるようがんばっていきたいと思います(`・ω・´)


※ 本記事は「AI COLLECTION」(AIイラスト専門の展示即売会)の企画です。
  (https://cl.chichi-pui.com/