AIイラストの進化は現代産業をどう変えるか

公開日:

更新日:

※この記事はchichi-pui様主催のAICollectionアドベントカレンダー4日目の記事になります。

どうも殻Bee(@KARA_Beee)です。
皆さん日々イラスト生成は楽しんでおられますでしょうか。

昨年イラストレーター業界で大きな話題と論争を巻き起こした画像生成AIは、日々加速度的な進歩を遂げ、今日では毎日の様に常識がひっくり返る混沌とした世界になってきています。
只、その渦中にいる我々AIイラスト生成者からはそう見えていたとしても、AIイラストの事は何となく知っているけど触ったことが無い、或いはそもそも興味がない人は……
「え?何か知らんけどAIが絵描いてくれるんでしょ?すごいねぇ」
ぐらいの認識と言う方も多いのではないでしょうか。
しかし、イラストを初めとしたエンターテイメント業界への影響や著作権問題等の陰に隠れがちですが、文字通り「ビジュアル」を作り出すことが出来る画像生成AIは、他の産業分野に置いても進化の為のコア技術の一つに成り得る可能性が高いです。

AIイラスト生成における技術的なアレコレは後に控える先生方に譲るとして、今日は一見AIと関係が無さそうな分野において、画像生成AIにどんな使い道がありそうかを考えてみたいと思います。

〇取り敢えずAIに聞いてみた

まずはAI生成イラストが現代産業の各分野でどの様に活用されうるか、chatGPTに聞いてみました。
〇農業:
・作物の成長状況や害虫の発生状況を可視化したイラストを作成し、効率的な農作業のための分析に利用する。
・観賞用植物や花卉のイラストを作成し、販促物に活用する。
〇漁業:
・魚の種類や大きさ、色合いを表現したイラストを作成し、飲食店や小売店での販売促進に活用する。
〇鉱業:
・鉱物の形状や性質を表現したイラストを作成し、学術論文や報告書などで使用する。
〇建設:
・建物の外観や内装、構造物の図面や設計書を作成するための素材として、AIによるイラスト生成を活用する。
・建設現場の安全を考慮した構造物のシミュレーションイラストを作成し、安全性向上に役立てる。
〇製造:
・製品の外観や形状、部品の機能や構造を表現したイラストを作成し、製品の設計や品質管理に利用する。
・製品のマニュアルや説明書に使用するイラストをAIにより自動生成する。
〇インフラ:
・橋や道路、建物、電力ライン、ガスラインなどの設備のイラストを作成し、管理やメンテナンス作業に利用する。
・都市計画や公共工事の案内パンフレットなどで使用するイラストをAIにより自動生成する。
〇通信:
・通信機器の形状や機能を表現したイラストを作成し、設置・管理作業の効率化に役立てる。
・通信サービスのマニュアルや説明書に使用するイラストをAIにより自動生成する。
〇運輸:
・自動車の外観や内装、部品の機能や構造を表現したイラストを作成し、設計や製造作業に役立てる。
・配送物の荷姿や特徴を表現したイラストを作成し、配送管理や荷役作業に役立てる。

結構色々出てきましたね。
只、パッケージデザインや販促物への活用、書物の挿絵等は、確かに効率化に貢献はするでしょうが、それほど意外性は無いかもしれません。
一方でシミュレーション結果をAI生成によって出力すると言うのは中々活用度合いが高そうです。
例えば農業の項目にあった「作物の成長状況」。
アグリテック(農業×IT)と呼ばれる分野では、センサーから取得した農作物のデータをAIで解析し、精密な収穫量の推定に役立てると言う試みがあるようです。種蒔きの段階で収穫時の畑の様子をAIによって画像生成し、作物の大きさ、物量等が精度高くシミュレーション出来るようになれば、農家の方々の利益向上にも大きな力になる筈です。

https://forbesjapan.com/articles/detail/33949

漁業に置いても、ドローンの撮影した映像から画像認識技術を用いて魚群探知に役立てようとする研究がされているようです。

https://signate.jp/competitions/403

これがもう一歩進んで、水中カメラで海底地形の分析等も行うようになれば、画像生成AIを用いて魚群のより詳細な位置と規模を視覚化する事も出来るかもしれません。
最も、これは何も海中に限った事ではありません。
地中の鉱脈や岩盤層にも使えるでしょうし、建物の古びた配管の中から亀裂の写真を分析して、即座に断面を3D画像に起こす事も可能でしょう。
様々な探査領域について、AI生成による「見える化」は文字通り新たな「眼」として機能する筈です。

では、続いて製造業に話を移しましょう。
この分野について私が一番期待しているのはプロダクトデザインへの応用です。
昨今は3Dプリンターが物凄い進化を遂げました。
最早元素周期表を網羅していると言っても過言ではないほど様々な材質の物を出力する事が出来、何と家を建てる事すら出来てしまいます。



この設計データをAI生成で作ることは出来ないでしょうか?
デザインの現場に試作品は付き物ですが、これをAIが造形、強度計算を行う様になればトライアンドエラーのスピードを格段に上げることが出来ます。
それだけではなく、画像生成AI×3Dプリンターの利点は
「人間が思いつかない様なデザインで、しかも実際に手に取って使える物が生み出せる」
と言うところだと思っています。
それが文具等の小物でも、アクセサリーでも、服でも、乗り物でも、建物でもです。
SFの様な不思議な形の高層ビルは、もしかすると将来3Dプリンターが印刷出来る様になるのかもしれません。

そして、chatGPT君は例に挙げませんでしたが、美容業界にもこのAI×3Dプリンターの適用は出来ると私は考えています。
つい先日の話ですが、目元整形の仕上がりイメージをAIによってシミュレーション出来ると言うサービスが登場しました。

https://www.s-b-c.net/about/media/newsrelease/20230220/

実用化はまだ先かもしれませんが、既に3Dプリンターは生体組織も印刷する事が出来ます。
これまで美貌と言うのは生れ付きの特権の様な所がありましたが、もしかしたらゲームのアバターを作るように容姿をカスタマイズ出来る時代がくるかもしれません。
まぁ、流石にそれは個人認証とか大変な気もしますが…( ̄▽ ̄;)
また、やる人は相当限られてくるでしょうが、3Dプリンターで猫の毛皮を精密に再現する様に印刷した猫耳を頭皮に移植すれば、いよいよ現実世界に獣人が誕生するでしょう。
既に動画を元にファンタジー生物を作ろうとしている事例は確認されています。



また医療分野で言うならばこんな話もあります。
大阪大学の研究チームは画像生成AIを使用してMRIの取得データから患者の視覚を
画面上に再構成する事に成功しました。
これは簡単に言うと、脳波を元にAIが画像を作り出せると言う事です。
その昔、SF映画では脳内チップに極秘情報を格納する情報屋、なんていうのは割とメジャーな役どころでしたが、遂にそれが現実になってしまいそうです。
この技術が一般化すれば病気やケガで喋れない人との意思疎通は勿論、赤ちゃんや
動物との非言語的コミュニケーションにも活かせるかもしれません。



この様に、事例は上げて行けば切りがありませんがこの辺りにしておきましょう。

如何だったでしょうか。
かなり突拍子もない話もあったかと思いますが、これを読んだ皆さんの画像生成AIに対するイメージが広がってくれれば嬉しいです。

AI COLLECTIONは4月8日に川崎市産業振興会館 4F 展示場で開催するそうです。
ご興味ありましたら是非お越し下さい。

https://cl.chichi-pui.com/